2005年 03月 20日
最近読んだ本 <読書日記3月#4~6> |
デス・ノートのヨツバ編があんまり面白くなかったのでジャンプ読んでなかったのですが、今週、コンビニで立ち読みしようとしたら、デス・ノート第一部終了って…!しかも、Lが死んじゃったって…!(茫然)
主要な人気キャラをわずかコミックにして5,6巻で死なせてしまう(多分、物語上必然だったんでしょう…)というのも、少年マンガとして、ものすごく珍しいでしょう。そういう点も、デス・ノートの稀有なところではあると思うけれども…第2部も楽しみだけれども…ショックは、ショックです。ああ(涙)。
…気を取り直して。
長嶋有「ジャージの二人」
タイトル、装丁からして、ものすごーく冴えない感じ(笑)。当然(?)、話の主人公の方も、すごく冴えなかった。会社を辞めて、名ばかりのフリーライターの主人公は、妻に公然と浮気されている。それどころか、時々、妻に恋愛の愚痴を聞かされたりしている。二人の間に色々とわけもありそうではあるけれど、それにしたって冴えなさ過ぎる。
そんな男が父親の持つ別荘(とはいえ、響きほど優雅ではなく、ボロ屋に近い)に、避暑に訪れる。父親は、主人公の母親とは離婚していて、今現在は他に家庭を持っている(が、そちらもうまくいっていない)。
この冴えなさが、イコール情けなさ、どうしようもなさにはならないところが、この話のミソ。主人公が、そんな生活を送りながらもプライドだけは高くて、あんまりかわいげがない。ダメ人間なのに、自分ではそうと思っていないところが、煮え切らなくて、あまり面白みもなく話が終わってしまった印象だった。
ジャージの二人
長嶋有
集英社(03/12)
藤野千夜「彼女の部屋」
藤野千夜の短編集。これに収録されている「愛の手紙」は、アンソロジーで読んで藤野千夜のファンになったきっかけの短編。ストーカーの手紙を預かった主人公と、物好きな友人2人が、ストーカーとはどんなところに住んでいるか、と遠足気分で確かめに行く、というヘンな話。
表題作の「彼女の部屋」も、たして親しくもない、「寒い」演劇おたくの知り合いに、勝手に「友達」と見込まれ、しつこく部屋に誘われて、仕方なく遊びに行ったら、お茶に「ミロ」を出された、というようなこれまたおかしな、でも実は非常にありそうなお話。この、微妙にずれた部分を、淡々とした筆致で、事実だけをなぞるように描き出す。
こういう話、もっと読みたい。好きです。
彼女の部屋
藤野千夜
講談社(03/10)
堀江敏幸「熊の敷石」
これ、前に読もうとして一度挫折した作品なのですが、最初の数ページの摩訶不思議さを過ぎれば、普通に読める作品でした。
著者略歴を読んだり、テレビに出演されているところを見たりしてしまうと、どうしても著者=主人公というイメージを抱いてしまうものだけれど、「熊の敷石」に関して言えば、エッセイです、と言われても納得してしまうような作品だ。つまり、非常に私小説的なのだ。
世界は、無造作にあらゆる種類の暴力を無作為に働く、という事実を、淡々と滲ませている作品で、「熊の敷石」の寓話も非常に効果的。
とても品格の漂う文体で、読むと少しだけ知的な気分に浸れたりもします。
熊の敷石
堀江敏幸
講談社(01/02)
主要な人気キャラをわずかコミックにして5,6巻で死なせてしまう(多分、物語上必然だったんでしょう…)というのも、少年マンガとして、ものすごく珍しいでしょう。そういう点も、デス・ノートの稀有なところではあると思うけれども…第2部も楽しみだけれども…ショックは、ショックです。ああ(涙)。
…気を取り直して。
長嶋有「ジャージの二人」
タイトル、装丁からして、ものすごーく冴えない感じ(笑)。当然(?)、話の主人公の方も、すごく冴えなかった。会社を辞めて、名ばかりのフリーライターの主人公は、妻に公然と浮気されている。それどころか、時々、妻に恋愛の愚痴を聞かされたりしている。二人の間に色々とわけもありそうではあるけれど、それにしたって冴えなさ過ぎる。
そんな男が父親の持つ別荘(とはいえ、響きほど優雅ではなく、ボロ屋に近い)に、避暑に訪れる。父親は、主人公の母親とは離婚していて、今現在は他に家庭を持っている(が、そちらもうまくいっていない)。
この冴えなさが、イコール情けなさ、どうしようもなさにはならないところが、この話のミソ。主人公が、そんな生活を送りながらもプライドだけは高くて、あんまりかわいげがない。ダメ人間なのに、自分ではそうと思っていないところが、煮え切らなくて、あまり面白みもなく話が終わってしまった印象だった。
ジャージの二人
長嶋有
集英社(03/12)
藤野千夜「彼女の部屋」
藤野千夜の短編集。これに収録されている「愛の手紙」は、アンソロジーで読んで藤野千夜のファンになったきっかけの短編。ストーカーの手紙を預かった主人公と、物好きな友人2人が、ストーカーとはどんなところに住んでいるか、と遠足気分で確かめに行く、というヘンな話。
表題作の「彼女の部屋」も、たして親しくもない、「寒い」演劇おたくの知り合いに、勝手に「友達」と見込まれ、しつこく部屋に誘われて、仕方なく遊びに行ったら、お茶に「ミロ」を出された、というようなこれまたおかしな、でも実は非常にありそうなお話。この、微妙にずれた部分を、淡々とした筆致で、事実だけをなぞるように描き出す。
こういう話、もっと読みたい。好きです。
彼女の部屋
藤野千夜
講談社(03/10)
堀江敏幸「熊の敷石」
これ、前に読もうとして一度挫折した作品なのですが、最初の数ページの摩訶不思議さを過ぎれば、普通に読める作品でした。
著者略歴を読んだり、テレビに出演されているところを見たりしてしまうと、どうしても著者=主人公というイメージを抱いてしまうものだけれど、「熊の敷石」に関して言えば、エッセイです、と言われても納得してしまうような作品だ。つまり、非常に私小説的なのだ。
世界は、無造作にあらゆる種類の暴力を無作為に働く、という事実を、淡々と滲ませている作品で、「熊の敷石」の寓話も非常に効果的。
とても品格の漂う文体で、読むと少しだけ知的な気分に浸れたりもします。
熊の敷石
堀江敏幸
講談社(01/02)
by kilisa-book
| 2005-03-20 22:43
| 日々の読書